万博の思い出(14)

万博が終わって1ヶ月。たまたま車で会場の近くに行きましたが、遠くから見たらまだまだそのままの形が残っているようです。もちろん中身は空っぽですが。
話題だった「サツキとメイの家」はしばらくこのまま残るようです。今でも痛まないように管理され、24時間警備されているわけで、私たちの心は鍵をかけずに外出ができたというあの時代には戻れないようです。

短信  (良心は政治という俗の虜か)

hippydonky212005-10-26

東京新聞より
東京地裁の旧植民地ハンセン病訴訟
2裁判長判断割れる

日本の旧植民地時代に設置された韓国と台湾のハンセン病療養所の入所者が、ハンセン病補償法に基づく補償請求を棄却した日本政府の処分の取り消しを求めた二つの訴訟の判決が二十五日、東京地裁であった。判決は二つの部で別々に言い渡され、台湾人入所者らの請求は認めたが、韓国人入所者の請求は退けた。二つの訴訟はそれぞれの施設が、法律で補償対象と定めた「国立ハンセン病療養所」に当たるかどうかが争点となったが、明暗がくっきり分かれる結果となった。韓国側原告団は控訴する方針を明らかにした。 
(中略)

台湾訴訟の判決理由菅野博之裁判長は、補償法の趣旨について「偏見や差別と隔離政策の中で、長年の間、多大な苦難を強いられてきたハンセン病施設の入所者を、広く網羅的に救済しようとする特別な立法」と指摘。その上で「平等の原則を無視し、補償法の『国立ハンセン病療養所等』から台湾の施設を除いて限定的に解釈するのは合理的ではなく、日本政府の対応は違法」と結論づけた。

 一方、韓国訴訟の判決理由で鶴岡稔彦裁判長は「偏見と差別の原因の一端が、戦前のわが国の隔離政策にあったことは否定しがたい」としながらも、「補償対象となる療養所を列挙した厚生労働省の告示に(韓国の)小鹿島更生園を掲げなかったことが、不合理で平等原則に違反するとは言えない」とした。

判決を素直に読めば、韓国訴訟の方は明らかにその他への(つまり戦後賠償とか)波及するのをおそれるというきわめて政治的な判断を行ったと言うことです。裁判官がその自己の良心にのみ従うはずなのに、その良心の揺れが政治という高度に見えて実は俗な感性に引きつけられたと言うことでしょう。
そして判決として政治的は判断をし、そのボールを政治の側に投げ返したとするなら、その行為自体が今の政治状況が判断できていないという二重におろかしい判決なのだといわざる終えません。
日本国内であれば国籍に関係なく補償が受けられる訳で、それ故被害者が現にどこにいたとしても日本という国の不当行為の後始末は、日本人の手でなされなければならないのではないでしょうか。政治家として裁判官から投げ返されたボールを受け取る議員がいるでしょうか。与党の議員の中に。

今日の一冊

「議論のウソ」 講談社現代新書
小笠原 喜康  著

前書きより
「ウソを見抜く力は必要である。しかし、もっと必要なのは、そうした「嘘」であるかどうかという判断自体が場合によっては変わりうるという、多様な次元で多様な結論という姿勢を貫く強靱さではないか。
こんな時代には、むしろ立ち止まって、本当のところはどうなんだろうと考えるのも必要なのではないだろうか。反応の早さを競わずに、愚鈍なくらいに判断を躊躇してみる。議論を重ねてなかなか結論を出さない。私はそんなことが必要だと思っている。」



筆者が語るように「うそ」に自覚的になれ、正答主義をやめられるかが、メディアリテラシーの鍵なんでしょう。

「議論のウソ」

hippydonky212005-10-25

asahi.comより
 自民党の「歴史的大勝」はなぜ起きたのか。総選挙から1カ月半。有権者の意識を改めて探るため、朝日新聞社が22、23の両日、全国世論調査(電話)を実施した結果、自民候補に投票したと答えた人は、メディアの選挙報道から「影響を受けた」と答えた比率が他党候補に投票した人より高く、一番参考にしたメディアとしてテレビを挙げる割合も高かった。与野党とも、世論を突き動かす「メディア選挙」の深化とともに、その怖さも感じ始めている。

 今回の総選挙を「おもしろかった」と答えた人は52%で、「そうは思わない」の39%を上回った。とりわけ20代では「おもしろかった」が男女とも6割以上だった。

 メディアの選挙報道から「影響を受けた」人は「大いに」と「ある程度」を合わせ53%。影響を受けた人は、70歳以上(49%)を除く各年代で過半数を占めた。自民候補に投票した人では、「影響を受けた」が63%と目立つ。

 総選挙で一番参考にしたメディアは、「テレビ」が51%、「新聞」が40%、「インターネット」が4%だった。自民候補に投票した人では「テレビ」が56%と多く、「新聞」は39%。一方、民主候補に入れた人は「新聞」が48%、「テレビ」が44%と、対照的な結果となった。

 女性では「テレビ」が58%で、「新聞」の34%を引き離し、すべての年代で「テレビ」が上回った。これに対し男性では、「新聞」46%、「テレビ」44%と伯仲。20代〜40代では「テレビ」が多いが、50歳以上では「新聞」が「テレビ」を上回る。

 総選挙でメディアが特定の政党や選挙区ばかりを取り上げている印象を持ったかどうかを聞くと、50%が「持った」と答え、「持たなかった」の41%を上回った。「持った」は民主候補に投票した人で60%と高いのに対し、自民候補に投票した人では「持った」46%、「持たなかった」44%と見方が割れた。

朝日としては、メディアが自らの行為に反省と自戒をこめてこの種の調査をしたとしても、たぶん特にテレビの方たちは、自分たちの影響力の大きさをを自負心に衣替えし、これからも図に乗るって言う構図が描かれるだろうと思うのは憂いでしょうか?
メディアリテラシーを学ぶことなく、情報の一元化にさらされているという認識がない。ネットによってあたかも多様な意見に接していると誤解し、(ネットの情報ほど気がつかないうちに、いやむしろ自分の意志で恣意的に集められていることすら気がつかない訳で)、あたかもそこに自らの決定が存在しているがごとく思いこむ。テレビとネットというバーチャルな世界の体現が、あたかも自分の皮膚感覚のごとく自己の中に拡散してしまうことにすら気がつかないできた人たちが、さらなる誘導に拍車をかけているという現実。


そうであるなら、ともかくもどれだけ自己の作られた経験感覚から一歩身を離しておけるかが焦点のような気もします。

万博の思い出(13)

オーストラリア館のアテンダントに偶然ちょっとした顔見知りの方がいて驚きました。よく似た人がいるなあと思い、声をかけてみることに。やはりそうでした。休憩時間に話をしましたが、僕の英語より彼女の日本語の方が数段うまくなっていました。情けない。
写真は巨大なカモノハシのかものくんの模型です。
閉幕後かなりの高値で売れたようです。

メモ

共謀罪の今国会成立を断念

自民、公明両党は19日の幹事長、国会対策委員長会談で、犯罪の事前相談に加わっただけで罪となる「共謀罪」の創設を柱とする組織犯罪処罰法などの改正案について、今国会での成立を断念することで合意した。

 民主党との協議が難航していることなどが理由で、衆院で継続審議とする。
(読売新聞)

まだまだ監視継続。
しかし、腰を患っているうちに障害者自立支援法案が可決されてしまった。
弱いものはより弱く・・・。政治家はいつか自分がそうなる事の想像ができないものばかりなのか。そんなときも特権を振り回すのか。


議員年金制度を即時廃止

自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長は19日午前、都内で会談し、特権的との批判が強い国会議員互助年金(議員年金)制度を即時廃止し、まだ受給していない人には納付金を返還する案の検討を始めることで合意した。

 ただ、今国会への関連法案提出は見送り、来年4月からの廃止を目指して次期通常国会与野党合意を図る方針だ。

 与党がすでにまとめていた、当面は現行制度を存続させ、新制度移行までの間に暫定的に国庫負担を削減する案は撤回する。すでに即時廃止案をまとめていた民主党との間で調整が難航していたが、与党側が歩み寄ることになる。自民党中川秀直国会対策委員長は会談後、記者団に、「国民世論の動向を踏まえ、廃止の決断が必要だと判断した」と語った。

 自民、公明両党は今後、それぞれ党内協議に入るが、現在の受給者への支払いは維持する考えだ。

 現行の議員年金は、在職10年の元議員で年間約412万円受給できる仕組み。在職中の年間納付額は約126万円で、「他の年金より優遇されすぎている」という指摘が出ている。
(読売新聞)

廃止といっても国庫負担が増える焼け太り。相変わらず自己の行為に酔った人のパフォーマンスは醜い。

短信  (賛成は屁理屈の後で)

hippydonky212005-10-20

asahi.comより
 イラクサダム・フセイン元大統領(68)ら旧政権の幹部を裁く初公判が19日、バグダッドの特別法廷で開かれた。テレビ中継によると、虐殺などの罪で起訴されている元大統領は「私は無実」と主張。名乗ることも拒み「私はイラク共和国大統領」「すべては偽りだ」と法廷の正当性を認めない考えを示した。

朝日新聞世論調査によると(まあ参考程度に)小泉首相靖国参拝に対してよかったが42%、するべきではなかったが41%とでています。驚いたのは男性では「よかった」が38%、「すべきでない」が46%に対して、女性が46対36で賛成が上回っていることです。今までは本来?好戦的で他人の干渉を意固地に排除したい男性に賛成が多かったのですが、より他人の感情が理解できやすいといわれる(信じてはいませんが)女性がこの結果です。選挙後小泉内閣の支持率を押し上げている張本人たちがやはり同じように考えているって事なんでしょうか。最近よく近所好き合いで衝突を繰り返す人が多くなったようですが、要するに主婦に代表される大人の女性たちが、人とのつきあいをいやがり、家にこもり、テレビばかり見ているってことなんでしょうか。


そういえば相変わらずこの方は笑わしてくれます。小泉首相靖国参拝に対しての談話ですが
中川経済産業相は「東シナ海とか日中関係について、どういう影響があるかについては、中国が大人の対応をすればいいので、こちらが影響があるとかないとかいう話ではない」と述べたそうです。おいおい、だだをこねる子供が諭す大人に向かって「大人になれよ」という構図。腹を抱えてしまいました。まだまだ腰が痛いというのに。





イラクサダム・フセイン元大統領の裁判が始まりました。A級戦犯を合祀し、それでもなお靖国参拝を肯定し続ける人たちに僕は是非フセイン無罪の論陣を張っていただきたく思います。ましてや東京裁判は勝者の論理だと言う方には、特にそうしていただきたいと思っています。しかしそういう方に限ってアメリカのイラク侵略を肯定し、この裁判をも肯定的に見ているという自己矛盾から抜け出してはくれないようです。


追記

 【ニューヨーク19日共同】アナン国連事務総長は19日の記者会見で、イラクサダム・フセイン元大統領の初公判が開かれたバグダッドの特別法廷について「司法手続きや審理は国際基準に合致しなければならない」と述べ、間接的に同法廷の審理の在り方を批判した。
 米占領統治下の2003年末に設置された特別法廷については「正当性に欠ける」との批判が国際人権団体などから出ており、イラク戦争国連憲章違反との立場を取る事務総長が同調した形だが、米国などは反発しそうだ。
 事務総長はイラクの旧フセイン政権の大量虐殺などを裁く特別法廷について問われ「人道に対する罪を犯した者は法の裁きを受けなければならない」と述べる一方で、国際基準に沿った審理の重要性を強調した。