短信  (お金で買えない名誉)

asahi.comより
95年の政治決着後も患者の掘り起こし活動を続けてきた鹿児島県出水市の「水俣病出水の会」(520人)の尾上利夫会長は15日、今回の最高裁判決で支持された診断基準を根拠に、国と熊本県チッソを相手に、未認定患者110人規模の損害賠償請求訴訟を起こす方針を明らかにした。来年前半にも鹿児島地裁に提訴したい考え。

 原告になる予定なのは、同会の会員で(1)政治決着で療養費補助の保健手帳を受けている16人(2)手帳を返上して認定申請し棄却された19人(3)手帳を受けられなかった38人(4)未申請者ら約40人。

 尾上会長は「司法の判断基準が固まり、関西訴訟の原告と同程度の症状の未認定患者が提訴すれば、勝訴できる。徹底して闘い抜く」と語った。

 95年の政治決着は、訴訟や認定申請の取り下げを前提に進められた。再び提訴する場合は、一時金や保健手帳を返上しなければならない。 

関西水俣病訴訟の最高裁判決を受けての動きです。
未認定患者はうそ病などと非難中傷の連続で、政治決着の一時金でさえ泥棒に追い銭などと一部で非難され続けたようです。病による苦しみといわれのない中傷に耐え切れず、そして黙り込んでしまった彼らに勇気を与えたのが今回の最高裁判決ならば、八海事件を映画にした「真昼の暗黒」の中で主人公が
「まだ、最高裁がある!」
と叫んだせりふに歴史的に逆らいつづけた最高裁判決(八海事件はなんと7回の裁判の後無罪を勝ち取りましたが。その後の冤罪事件や公害裁判で・・・)が、ようやく人々の人権感覚に追いついてきたのかと少し感慨深げです。
お金なんかじゃ買えない名誉を守る戦いは始まったばかりです。