今日の一冊

小泉純一郎と日本の病理」 光文社ペーパーバックス
藤原 肇 著


追記
上記の本の読み応えがあるところは、稚拙で子供じみた小泉外交のせいで、日本経済の生命線である石油戦略からも日本は世界の孤児と化したくだりです。
著者は石油専門家であり、その的確な分析は、靖国支持の薄っぺらな愛国右翼ちゃんの頭の中をかき混ぜても絶対理解できない国際政治そのものです。国益とはいかなるものかをちゃんと考えないと、小泉首相の応援団たる生活保守主義者の方も(改革支持を気取っていても、それは自己の生活を守るために自己ではない他人を犠牲にしろと言っているだけの生活保守主義者です)火の粉は自分の上から降ってくることになるのです。

「小泉純一郎と日本の病理」

hippydonky212005-11-04

毎日新聞より
毎日新聞が10月31日と11月1日に実施した全国世論調査(電話)で、小泉純一郎首相の10月17日の靖国神社参拝について聞いたところ「賛成」との回答が50%で、「反対」の46%を4ポイント上回った。また、靖国神社とは別に戦没者を追悼する無宗教の国立追悼施設を建設することについては66%が「賛成」と回答し、「反対」の29%を大きく上回った。
 参拝前の10月調査で、首相が参拝を続けることの是非を聞いた際には、「反対」(51%)が「賛成」(44%)を上回っていた。7月、6月、4月の調査でも反対派が上回っており、賛成派が多数派だったのは昨年12月調査以来。首相が本殿に上がらず「私的参拝」を強調したことや、韓国の反発が抑制的な点が影響した可能性がある。
 小泉内閣を支持する層では64%が首相の参拝に「賛成」と答え、不支持層では73%が「反対」と回答。支持政党別では自民支持層の約7割が「賛成」だったが、民主、公明支持層では6割以上が「反対」と答え、支持政党のない無党派層では「賛成」(49%)が「反対」(46%)をやや上回った。

巷で静かに話題になっている本を手に入れました。探してもなかなか見つけられなかった(売れてるって言うこと?)んですが、時間調整で入った駅前の本屋でたまたま1冊だけあるのを見つけたので即買い。そのまま一気に読んでしまいました。
なかなか読み応えのある、おおざっぱに言ってしまえば、9.11の選挙以来久しぶりにのどにつっかっかていた小骨を取り除けた開放感をもたらしてくれた本でした。もっとも感情が共鳴してしまう本は、一度閉じ、冷静になってからもう一度開くべきなんですが・・・。いけませんです。ハイ。
本の解説はこのブログの趣旨ではありませんのでしませんが、良くも悪くもこういう方が首相なのですねと感心した次第です。
それにしても現首相はホピュリストとしては確かに資質があるのかもしれません。
改めて言えばやはりこういう事です。やはり下品で通俗的な言い方になりますが、
小泉劇場においては
小泉改革?の勝ち組には、お金という褒賞を与え従順にさせ、負け組には飢餓感をあおって、そのはてにはナショナリズムというえさを与えて外に敵を作らせればよいと。
その当たり前すぎるくらい当たり前の事に乗っかって内閣支持率が50%を超えてしまう。


虚無感をエネルギーに変えるために是非一読を。

万博の思い出(15)

ロボットはやはり日本のお家芸なんでしょうか。トヨタ館のロボットを始め、ロボットは万博の目玉の一つでした。
万博会場は元は愛知青少年公園というところ。そこには元々1970年の大阪万博の展示館の一つだったフジパンロボット館が移設されたところです。それの何かの縁だったんでしょうね。その当時のブリキのおもちゃのようなロボットが会場にひっそりとありました。


写真は三菱未来館のロボット「WAKAMARU」。東京二十三区限定で売り出されたようです。1体300万円ですか。
そういえばびわ湖バレイに行くものだと思っていたモリゾーゴンドラは移設費の関係で取りやめになったとか。後は中国とタイというに二カ国らしくキッコロゴンドラのことも考えれば二国に行くことになりそう。

短信  (国威発揚したいならやっぱりオリンピック)

hippydonky212005-11-03

中日新聞より
上海万博の商業主義批判
計画の見直しをBIE求める

 二〇一〇年に上海で開かれる国際博覧会をめぐり、計画の是非を審議する博覧会国際事務局(BIE)の執行委員会が「過度な商業主義に走りすぎ」と批判し計画の見直しを求めていたことが二日分かった。上海側は計画の一部を修正したとみられる。

 BIEは十二月一日にパリの本部で総会を開き、上海万博の「開催登録」を承認する見通し。ただトヨタ自動車など海外企業にも五輪並みのスポンサー契約を迫る「金もうけ」主義にBIE側は当惑しているもようだ。

 関係者によると執行委は六月と十月に非公開で開かれた。委員はフランスやイタリア、日本、カナダなど十二カ国。一回目の会合で欧州の委員らが、海外などの三十社と上海万博のロゴマーク使用でスポンサー契約を交わしたり、上海万博の運営会社を海外の証券取引所に上場して資金を集めるなどの商業主義を批判。計画の再考を求めたとされる。

 十月の執行委までに上海側は運営会社の海外上場案を撤回。組織や運営方法なども一部修正したとみられるが、スポンサー契約については「五輪より万博の人気が低いのは企業の参加が少ないから」として変更しない意向を示している。

全く困ったちゃんの中国ってやつですか。国威発揚もオリンピックと並んで万博にまで持ち込むとは。それにしても国威発揚から考えれば出展企業は国内の企業の見本市化するところなんでしょうが、トヨタを始め海外企業の出展にこだわるのはなぜなんでしょう。過去に企業は自国開催の万博以外に出展したことはありません。国威発揚ならこれでもかと自国企業のデモンストレーションをやる方が正解なんでしょうに・・・。
技術力から言ったらアメリカと世界を2分するほどの力になりつつあるのに、皮肉るわけではないのですが、ロボットの「先行者」が先行者になり得なかったという落ちならもう十分納得できるのですが。
国威発揚といえどもオリンピックでは中国という名が売れても、イコール中国生産品の優秀さにはつながらないのは確かです。
BIEが愛知万博が成功だったと認識したのはどうしてかと言うことを、そして僕たちが万博から得られたものがなんだったのかをもう少し中国当局が分かっていたならもちろん万博を誘致はしなっかたでしょうけど。
それはともかく自国ではなく他国を知る場が万博だったと思っているものとして何とも情けない事なのは事実です。

「ローザ・パークス自伝 」

hippydonky212005-11-01

少し前の記事ですが

読売新聞より
 ローザ・パークスさん(米黒人公民権運動家)米CNNテレビなどによると24日、デトロイトの自宅で死去した。92歳。

 1955年12月、人種差別の根強かった南部アラバマ州モントゴメリーでバスの座席を白人乗客に譲るのを拒否し、白人優先を定めた市条例違反容疑で逮捕された。逮捕への怒りは黒人住民によるバスの乗車拒否、さらにはマーチン・ルーサー・キング師を中心とする全米規模の黒人解放運動へと広がり、「公民権運動の母」と呼ばれた。

 50周年に当たる今年末、記念行事が全米各地で予定されていた。57年からはデトロイトに移り、黒人の子供への教育活動などに携わった。

そのローザ・パークスさんの棺がワシントンの議事堂の中におかれ、弔問客が訪れています。
アメリカが国家をあげて最大級の讃辞を示しているわけですが、女性では初めてだそうです。
国家による差別政策に抵抗し、そして抵抗運動を担った人を、現在のアメリカの自由で平等な社会のシンボルとしてしているわけですが、これはどういったことを意味しているのでしょう。あの時代、もしかすると差別政策は仕方がないことだったのかもしれない。しかし、その状態を歴史的に肯定することなく、今の価値から鑑みて、今ある自由で平等な社会は、その時代に、公然と国家に立ち向かった方たちの歴史にこそ存在すると今あるべきアメリカが国家として考えているからに他ならないでしょう。
一方、その論理を逆転して見たらどうでしょう。どこかで聞いた言説だと思いませんか。
当然我が国で靖国A級戦犯を擁護する言説です。
あの時代はそれで仕方がなかった。国の進路として間違ってはいなかったと肯定してしまう。だからこそ今の平和があの人たち(A級戦犯の人たち)の死が礎となっていると思ってしまう。やっぱり間違ってはいませんか。
あの時代に抗し、治安維持法で(アメリカで言えば黒人差別法で)牢獄に入れられた人たちがいっぱいいたわけです。帰ってこなかった人たちがその大部分でした。アメリカ的に考えれば、その人たちの屍の上にこそ今の日本の平和と自由と民主主義があるわけです。もちろん兵として死した人たちや沖縄で、そして空襲で死した人の屍を基礎に今の平和があることが当たり前のこととして振り返ればどうして靖国が平和の基礎となり得るのか?
国に対して誤っていると抵抗したが故に、そして無抵抗であっても死した国民に謝罪することなく、無批判に「必然という歴史」という理屈を受け入れることがどうして正しいのでしょう。靖国問題は必然的に国内問題なのです。
そう考えれば、アメリカのまねっこが得意な現首相やぞろぞろと徒党を組んで参拝した国会議員たちが、まず第一にこうべをたれなければならないのがいったい誰に対してなのかが分かろうというものです。


ローザ・パークスさんの棺は彼女が座ったその当時のバスに乗せられて運ばれ埋葬されるそうです。むむむ。アメリカ的と言えばアメリカ的か。

メモ

取り急ぎ自分のためのメモを二つ。
日本がアメリカの自治州であったことが明確に判明した事実の列記として。

東京新聞より
艦載機も発着可能 普天間移設先
滑走路、1500メートル級に

 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題で、日米両政府が合意した移設先を名護市のキャンプ・シュワブのある辺野古崎とする案は、米側の要求を受け入れ、施設を議論の前提だった全長千五百メートルから千七百二十メートルにまで延長する内容であることが、二十六日分かった。この沿岸案では空母艦載機が離着陸できる滑走路を建設できることになり、「ヘリポートをつくる」としてきた防衛庁の説明と食い違う可能性が出てきた。 

 日米で合意した沿岸案はシュワブの兵舎地区を横断し、入りきれない両端が海に突き出す形状となり、滑走路の北東部に広大な駐機場エリアができる。

 兵舎の二割を移転させ、海にかかる部分は埋め立てか、くい打ち方式で建設する。

 日本側が提示した案を米側が受け入れた。その代わり、米側は施設を延長して全長千七百二十メートルとすることを要求し、日本側が了承した。

 この施設では千五百メートルの滑走路が建設可能となり、空母艦載機のFA18戦闘攻撃機をはじめ固定翼機が離着陸できる。在日米軍筋は「十分な長さとはいえない」としているが、緊急時の使用には問題ないという。

 この規模は、辺野古沖を埋め立てる現行計画の軍民共用空港(全長二千五百メートル、滑走路二千メートル)より短いものの、沖縄の基地負担の軽減を目指した一九九六年の沖縄特別行動委員会(SACO)で日米合意した海上代替施設の全長千五百メートル、滑走路千三百メートルより長い。

 SACOではKC130空中給油機を岩国基地(山口)に移し、代替施設は「他の基地から来る固定翼機が使用することのないヘリポート」になるはずだった。

 米軍再編協議ではSACOの精神を生かし、全長千五百メートルの施設を前提に複数案を議論していたが、最後の最後になって基地機能の強化が前面に出た。沿岸案は集落やリゾートホテルに近く、ヘリコプターに加えて固定翼機が離着陸するようになれば、墜落の危険と騒音被害が増すことになる。

前日にはこんな記事も。

東京新聞より
1000億超日本肩代わりへ
本来なら要望した米側負担

 米軍再編の一環として米海軍厚木基地(神奈川)から米海兵隊岩国基地(山口)に移る米空母艦載機部隊の移設費用を、日本側が負担する見通しとなった。日本側の要望で基地移設する場合、費用は日本側持ちだが、厚木移設は米軍が強く希望した。米軍再編と重ねることで移設が日米の合意事項に格上げされ、米側は一千億円以上ともいわれる費用負担を免れる。

 厚木基地から移転するのは、横須賀基地を事実上の母港とする空母キティホークの艦載機約七十機のうち、FA18戦闘攻撃機など大半の航空機。移動する米兵と家族は三千−四千人に上る。

 厚木基地には司令部庁舎、家族住宅、格納庫など三百七十四棟もの建物があり、これらの大半が岩国基地に新築されることになる。家族住宅は山口県住宅供給公社が基地外に造成中の宅地を購入する方針で、施設整備にかかる費用の総額は一千億円を超すとみられている。

 費用負担は、日本側の要望で基地の返還・移転を求める「リロケーション」の場合、原状回復義務を定めた民法の規定により、全額日本側の負担となる。

 しかし、厚木基地は住宅密集地にあることを理由に、米側が移設を求めた初めてのケース。移設後も艦載ヘリコプターと基地司令部に配備されている連絡機は残るため、基地の返還が実現するわけでもない。

 防衛施設庁の担当者は「一般論」としながらも「用地が全面返還されないなら、日本側が移設費用を負担する根拠がない」という。別の担当者は「『思いやり予算』で米軍施設の建設費を負担するか否かは、日本側の自主的な判断で決めること。米側の事情による移設なら『米国の予算でどうぞ』となる」と説明する。

 だが、厚木移設が米軍再編協議に持ち込まれたことで一方的な米側の要望が日米合意事項に格上げされ、移設費用も日本側負担で決着する方向となった。「米軍再編の成否はカネ次第」と話す関係者もいて、厚木移設にも膨大な国費が注がれることになる。