ソシュールと言語学

hippydonky212005-06-12

朝日新聞より
中山文部科学相は11日、静岡市で開かれたタウンミーティングで、歴史教科書に関連して、「そもそも従軍慰安婦という言葉は、その当時なかった。なかった言葉が教科書に出ていた。間違ったことが教科書からなくなったことはよかったと評価した」と述べた。従軍慰安婦や強制連行の記述が「減って良かった」とした昨年11月の自らの発言の真意を説明する中で言及した。

 中山氏は昨年の発言後、「文科相になった以上、個人的な考え方についての発言は控えるべきだった」と述べており、タウンミーティング後の記者会見では「質問されたから答えた」と説明した。

言葉はどうやって生まれてきたのでしょうか。誰もが感覚的に理解するところでは、命名主義の理論でしょう。ここにある動物がいてその動物に「犬」という名前を付けたので言葉が生まれたと。
虹は日本では7色ですが、どの文化でも七色なのではありません。命名主義ならば7つに分割できる虹はどの言葉でも7つの色が当てはめられてしかるべきでしょう。でもそうではありません。文化はこれとあれとの差をどこで認識するかに関わっていくのです。


さて言葉の問題は後述する本でも読んでもらうことにして、お上の文化の担い手たる文部科学省の大臣さんは国語審議会などもう主催なさらない方がよいと思います。
従軍慰安婦という言葉は1973年に千田夏光氏がその著書「従軍慰安婦」で使った言葉です。しかし特要員として軍隊に従軍した方はその出自はさておき、存在したことは事実です。
政務次官共々(政務次官マルクスレーニン主義用語だと馬鹿丸出しなのはおいといて)言葉狩りに狂騒なさっても、命名主義では歴史やいや現代社会すら学べないことをもう一度お考えになったよいのかも。
差別用語の減少が、差別の隠蔽に手を貸していることもまあ事実ですが。
そこを狙っているのなら見上げたものです。
差別用語狩り自体が古典的命名主義を脱しきれないのが致命的なのですが)