実践理性批判

hippydonky212005-07-29

昨夜、喫茶店でコーヒーを飲みながら備え付けの新聞を手にして、ため息をついてしまいました。その新聞は東スポ


「恐怖!インモラル写真公開!!地下鉄犬糞女」
見出しだけみればいったい何のことやら・・・???記事の内容はこうです。
韓国で地下鉄に小さな子犬を抱いて乗り込んできた女性がいたそうです。そしてこともあろうに連れていた子犬が地下鉄の車内で脱糞。素知らぬ顔の女性に始末をしろと注意する中年女性に逆ギレしてその女性は去っていってしまったとのこと。たまたま乗り合わせて人がその様子を写真に納め、(今時携帯ですばらしくきれいな写真がとれる世の中。そこら中スクープカメラマンだらけです)それをネットで公開してしまいました。
あとはご想像のどうり。女性を非難する書き込みだけではすまず、その女性の氏名から学校の学籍番号まで公開される始末。ネットで私刑が始まったというわけです。
匿名性のネット社会の怖さを喚起する記事なのですが、韓国のみならずそのことは日本でも現実に起きていることはお考えにはならなかったようです。
2チャンネルに代表される匿名性の掲示板は書いたもの勝ちで、少年事件が起これば同じように私刑が始まります。罪の意識の拡散性とネットの匿名性がその推進力となって広がっていきます。
また時として物事の真偽など関係なく架空事象がネットに広がることもあります。そしていったん広がったら真偽不明、出所不明など顧みられません。イラク人質事件の時の自作自演説などその典型です。その真偽不明、出所不明の情報をあたかも真実のようにテレビで語る愚かしいマスコミ人や評論家までいたことをお忘れにはなっていないでしょうね。
ネットの闇に飲み込まれぬように自戒し、そして個人の倫理性(道徳性ではありません。道徳など共同体の規範にすぎません。共同体が私刑を許せばそれが道徳になるのですから。たとえば宗教の規範を考えればいいことです)のみがネットの規範に他ならないことを、文字を書き連ねる前に考えたいものです。