短信  (首相と高視聴率芸人)

時事通信より
吉本興業の女性社員(40)を殴ったとして傷害容疑で大阪地検書類送検されたタレントの島田紳助容疑者(48)について、所属事務所の吉本興業は4日、本人の意向を踏まえ、謹慎処分が解ける5日以降も、当分の間は芸能活動を自粛させると発表した。再開時期は未定としている。

事件に対して興味があるわけでもなく、書く気にはならなかったのですが、やはり一言だけ。
島田紳助氏の最近の芸はとんねるずの石橋氏と並んでどうも芸能界の弱いものを罵倒することによって笑いを誘う芸になっていたような気がします。売れっ子の島田氏に対して売れていない役者や落ち目の芸能人をターゲットにして馬鹿にして笑いあう。見ている視聴者も日頃の鬱屈した心理状態をそこではらす。それでどの番組も島田話術に引き込まれ、好視聴率を示す。そんな構図だったような気もします。
ただそれがきわめて寛容性の無くなった今の日本の縮図を見ているようで、怖い気がしていました。小泉内閣のもとで弱いものは切り捨てられ、強者だけがもてはやされる。下のものはより下のものをさげすみ笑いものにする。ネットの掲示板に見られる内向きのその構図が、少なくとも今までは建前としてでしかなかったとしても公の場では忌避されていたことが、さも本音が当然の様に公のTVを舞台にしてまで展開してしまうことが果たして正しいことなのか。今度のことが今一度考えるいい機会になると思うのです。
世界はアメリカを始めとしてことごとく寛容性のない戦いの世界となっています。経済の勝者が支配しつつけるアメリカ的グローバルスタンダードが、良くも悪くも同質性の美徳なりを求めていた日本いう社会にあっているのか。保守派のいう民族性が、実は過酷な競争社会の求める彼ら自身の手によって壊されていく現実を皮肉としてしか受け取れないのかは、震災で示された優しき感情がどこまで広がるかにかかっているような気もします。


島田紳助氏のかつての番組「ビューティーコロシアム?」で整形を望む人並みとはいえなかった女性たちに示す優しさが、作り物であったとしてもその芸に戻ってほしいものです。