短信  (痛みも不快も伴う自然)

共同通信より
 和歌山県橋本市の市立中学校の男性教諭(41)が2年生の理科の授業で、生徒24人に針で指を刺させて採取した血液を実験に使っていたことが2日、分かった。保護者の抗議を受けた市教育委員会は「配慮が足りなかった。今後、このようなことがないよう徹底したい」としている。
 市教委によると、教諭は10月下旬、「血液とその循環」をテーマにした授業を実施し、2年の3学級計104人のうち98人が受講。熱消毒した針と消毒液を生徒に渡し、針で指を刺させて採取した血液をガラス板に塗り顕微鏡で観察させた。
 4、5人のグループの中から話し合いやじゃんけんなどで針を刺す生徒を選ばせたという。針を刺し出血する様子を見てショックを受け泣きだす生徒もおり、保護者から学校に抗議があった。

批判的な論調の記事ですが、僕は断固この教諭を支持します。
純粋培養のように育てられ、外で駆け回ることもせず、転んですりむいたこともない子供の未来の憂うわけではありません。そんなことは抗議したり、教諭を養護することもない事なかれな教育委員会の罪の大きさに比べたらたいしたことはないからです。
くだらないことに無念にも亡くなってしまった香田さんのへの批判的な論調を形成するのは、実はこういうくだらない親たちの一団であるからです。事実を目で見、臭いをかぎ、肌で感じることを拒否した人工的な空間の中に身を置き、たとえ軽率で無知であっても人間的なふれあいを求めて空間をさまよう人たちに対して、冷淡で異質なものを見るような目線を、この方々が人工的な目であるTVに向けていることが何を意味するのかもう一度考えてみることです。
生命の尊厳とかいいながら、生きているという自然が痛みも不快も伴うという事実を否定してしまうことが、実は他者に対する思いやりを科学的思考とともに失っていってしまうという事実に気がつかないことが問題であると思うのです。

エイズが怖いって?そうならそういえば。針を回して使なければ大丈夫。そのくらいの配慮はしてるでしょう。