安心のファシズム―支配されたがる人びと

hippydonky212005-01-03

あけまして おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
年の終わりから始めにかけてやはりおめでたくない話題ばかりです。今年は心静かに過ごせるでしょうか。はなはだ疑問ではありますが、ともかく静かに始めようと思っています。

携帯電話だって進化し、パソコン並みの双方向通信手段になり、コミュニケーションと情報を豊かにして個人の能力を高め、政治・社会をファシズムどころかより多様化、自由にするのではないか。

これはアマゾンのある本のカスタマーレビューの一部です。高度通信手段の発達は確かに市井の何気ない人々にまで、いままではあることすら知らなかった情報に近づくことを可能にし、自らも発信することを可能にはしました。それはある種の新しい自由を手に入れたことには違いありません。しかし私たちは本当に自らを制限し続けた権力構造から自由になったのでしょうか。
たとえばあなたが学生であり、そして教室で試験を受けているとします。
その(1)監督者は黒板のあたりに座り、あなた達を監視しています。
その(2)監督者は教室の後ろに座り、あなた達を監視しています。
どちらがあなたにとって都合がいいですか?

まじめに勉強し、自信を持って試験に臨んだ人にとってはどちらでも同じでしょう。
しかし隙あらばとカンニングペーパーを持参したあなたにとっておそらく(2)の位置に監督者がいるならあなたはおそらくカンニングなどできやしないでしょう。
つまり権力が明らかにその顔を見せているときはきわめてルーズな監視社会にすぎないのです。目の前から管理者が去り、あたかも自由を手に入れたと思っていたらあなたはこっそりと監視され、自由に振る舞っているつもりでも実のところ監視者の手の中で踊っているのにすぎないのです。
盗聴法が施行されても余り使われないのは、昨年年末に奈良の幼女誘拐殺人事件の犯人逮捕に活躍した携帯の位置情報やインターネットの接続IP情報だけで十分威力を発揮しているからにすぎません。監視にあからさまな権力など不必要なのです。
そしてあたかもあなたが自由に手に入れ、そしてその情報を元に自由に考えそして発信しているように見える意見が権力にしっかり絡めとれられてしまっていることに早く気がつくべきでしょう。
TVからあふれる情報はあなたを自由にしましたか?FOXの戦争賛美情報に踊らされたアメリカ人をあなたは笑えますか?あなたの手にしている新聞や今見ているTVニュースは真実だけを伝えているとお思いですか?


2005年 インターネットと携帯を手元で操作する前に手にした自由をもう一度だけ考えてください。あなたは自由なのかと考えてみてください。
上記の人を脳天気なお馬鹿な人と笑う前に。