短信  (良心は政治という俗の虜か)

hippydonky212005-10-26

東京新聞より
東京地裁の旧植民地ハンセン病訴訟
2裁判長判断割れる

日本の旧植民地時代に設置された韓国と台湾のハンセン病療養所の入所者が、ハンセン病補償法に基づく補償請求を棄却した日本政府の処分の取り消しを求めた二つの訴訟の判決が二十五日、東京地裁であった。判決は二つの部で別々に言い渡され、台湾人入所者らの請求は認めたが、韓国人入所者の請求は退けた。二つの訴訟はそれぞれの施設が、法律で補償対象と定めた「国立ハンセン病療養所」に当たるかどうかが争点となったが、明暗がくっきり分かれる結果となった。韓国側原告団は控訴する方針を明らかにした。 
(中略)

台湾訴訟の判決理由菅野博之裁判長は、補償法の趣旨について「偏見や差別と隔離政策の中で、長年の間、多大な苦難を強いられてきたハンセン病施設の入所者を、広く網羅的に救済しようとする特別な立法」と指摘。その上で「平等の原則を無視し、補償法の『国立ハンセン病療養所等』から台湾の施設を除いて限定的に解釈するのは合理的ではなく、日本政府の対応は違法」と結論づけた。

 一方、韓国訴訟の判決理由で鶴岡稔彦裁判長は「偏見と差別の原因の一端が、戦前のわが国の隔離政策にあったことは否定しがたい」としながらも、「補償対象となる療養所を列挙した厚生労働省の告示に(韓国の)小鹿島更生園を掲げなかったことが、不合理で平等原則に違反するとは言えない」とした。

判決を素直に読めば、韓国訴訟の方は明らかにその他への(つまり戦後賠償とか)波及するのをおそれるというきわめて政治的な判断を行ったと言うことです。裁判官がその自己の良心にのみ従うはずなのに、その良心の揺れが政治という高度に見えて実は俗な感性に引きつけられたと言うことでしょう。
そして判決として政治的は判断をし、そのボールを政治の側に投げ返したとするなら、その行為自体が今の政治状況が判断できていないという二重におろかしい判決なのだといわざる終えません。
日本国内であれば国籍に関係なく補償が受けられる訳で、それ故被害者が現にどこにいたとしても日本という国の不当行為の後始末は、日本人の手でなされなければならないのではないでしょうか。政治家として裁判官から投げ返されたボールを受け取る議員がいるでしょうか。与党の議員の中に。