短信   (弱いものはより弱く)

asahi..comより
一筋の期待。そして落胆。拉致被害者の家族は何度、この思いを味わったことだろう。日本人拉致問題で、日本側代表団が15日に北朝鮮から持ち帰った安否不明者についての「物証」は、どれも生存に否定的なものばかりだった。拉致被害者家族連絡会(家族会)は、代表団らの努力を評価しつつ、無念さと深い悲しみを言葉にした。

 15日は、27年前に横田めぐみさんが拉致された日だった。東京都港区の友愛会館の記者会見で、家族会のメンバーの最初に話した父の滋さん(72)は感情的な表現を使わず、用意した資料に沿って、政府代表団からの説明内容を語った。北朝鮮から持ち帰っためぐみさんのものとされる遺骨については「鑑定結果が出れば、すべてがわかる」と穏やかに話した。 
(以下後略)

北朝鮮に対する経済制裁が国民の70%が賛成だそうですが、強硬な発言に引きずられるようにして外交手段の手を縛り、振り上げた拳の落としどころさえ見つけられずに経済制裁に持ち込むことが本当の方法論とはどうしても思えないのです。いうまでもなく経済制裁の打撃はより弱いものへ向かいます。10年にも及ぶイラクへの経済制裁で少なく見積もっても100万人の乳幼児が亡くなったといわれています。中国、韓国の理解を得られるまま経済制裁に持ち込んでも、権力層は同じような生活を続けるでしょう。おこぼれに預かる層に対する締め付けは効き始めるでしょうが、わずかなものでしょう。日本からの送金が停止されても地下に潜った非合法の取引や犯罪がより巧妙になるにすぎません。いったい日本列島の海岸線は何キロあると思っているのでしょうか?実効性のない制裁が本当に落としどころを失ってしまうのです。
救う会」副会長の西岡力氏の朝鮮人強制連行なかった発言に接するにつれ、どう考えてもこの種の人たちにいいように家族会が利用されていることが問題の根源のような気もします。あの温厚な横田氏の描く未来が娘との再会よりも死にゆく屍に覆われた未来とはとても思えないし、思いたくもありません。
支配層のやけっぱちのミサイル攻撃がないと信じるほどの理想派の皆さんが多いのなら、なぜ米軍が日本にいる必要などないことを正当に考えられないのか。自分の未来にかかっていることなのに、想像力を断絶させ、自分の都合のいい結果を模索してしまうことが不思議でたまりません。北朝鮮の位置をもう一度地図で確かめることをおすすめする次第です。