短信  (みなさん、新しい財布を提供してくださいな)

YOMIURI ONLINEより
国際通貨基金IMF)は8日、日本経済に関する審査報告を発表した。郵政3事業の民営化を「歓迎する」と明言し、小泉首相構造改革を積極的に支持している。

 報告書は7月29日付でまとめられ、参議院での郵政民営化関連法案の否決や衆議院解散は想定していない。IMFIMFを主導する米国政府は、それ以降の日本の政局混乱に強い懸念を抱いていると見られる。

 報告書では郵政民営化について「日本最大の貯蓄機関である郵便局の民営化は、民間金融機関との公正な競争条件をもたらす」と評価。小泉首相が進めてきた構造改革についても「高齢化による経済成長の減速を相殺し、日本の生産力を高めるために必要だ」と積極的な支持を表明した。

 IMFホワイトハウス郵政民営化関連法案の否決や衆議院解散について、目立った反応は示していない。しかし、米生命保険協会は、「郵貯簡保の民営化は国際公約だ」と、引き続き郵政民営化を求める声明を出すなど、米国内では民営化の先送りを失望する声が出ている。

郵政民営化のメリットがよくわからないと嘆く事はありません。大多数の国民にとってメリットなどありません。そして民営化の真の目的を隠したまま、構造改革の美辞麗句に酔いしれようとするから訳がわからなくなるのです。

ここで命題を1つ提出します。
「民営化とは政治屋(あえて政治家と区別しておきましょう)や持てるものたちにとってすべからく新しい利権のためである。」


国鉄民営化から検証してみます。
国鉄自民党政治屋にとっては利権の固まりでした。地元に新線を建設することは土地所得から始まり路盤工事に高架工事。土建屋利権そのものでした。だから赤字路線確実な山間部でも国民の足を作るという名目の元、新線建設が政治主導で行われていきました。当然国鉄はずっぽりと赤字体質に。当然新線建設は止まります。すると今度は建設主体を分離することにしました。鉄道建設公団の誕生です。無理矢理に作った政治路線を国鉄に引き取らせていったのです。
新幹線以外建設するところがなくなると今度は国鉄の赤字体質脱却の美辞麗句を使い、民営化です。
さて民営化で当然利権が生まれました。それは不動産利権です。国鉄清算事業団が持つ膨大な土地資産にアリのように甘い蜜に群がり始めたのでした。国鉄の遊休地は当然駅に近い一等地。再開発の名の下に膨大な不動産利権が発生したのです。そして相も変わらぬ鉄建公団による土建屋利権も引き続き存続されました。
民営化で当然赤字ローカル線は廃止です。国民の足のはずの鉄道の廃止は何を意味するのでしょうか。それは大型バスが走ることのできる規格の道路建設です。時代は鉄道から車社会に変わっていました。鉄道に変わり高速道路が輸送の全面に躍り出て、道路公団による新線建設ラッシュです。インターにつながる道路は税金でまかなわれました。つまり鉄道に変わって道路が新たな土建屋と不動産利権に組み込まれたわけです。このまま続けば良かったでしょうが、道路建設にも限りがありますし、今度は道路公団の赤字体質に国民が黙ってはいませんでした。いつまでも続く料金徴収どころかさらなる値上げです。
老かいな政治屋たちです。構造改革の名のもと、とりあえず赤字体質脱却を掲げて民営化に突っ走ってもまだまだおいしい道路建設です。民営化は骨抜きにされたあげく、新たな道路が際限なく造られるのはご承知のとうり。そして挙げ句の果てには鉄建公団と同じように、今度は必要な(誰が?)高速道路は税金を投入する道まで作り出す始末です。


さて郵政民営化です。国は膨大な赤字でもう税金で何もかもできる時代ではありませんし、長野の脱ダム宣言にみられるように土建屋政治は崩壊の憂き目にあっています。しかしバブル経済は彼らにもう一つの利権を学習させたのです。それは株に代表される投機です。
株式市場は一見参加者にすべて平等に儲ける機会を提供しているように見えます。しかし市場を独占する寡占企業の価格のように、株式市場も大きな資金を持つものが市場を支配できるのです。大きな資金が買いに入れば当然市場は上がり始めます。それに追随するように資金が集まればもっとあがるでしょう。そして高いうちに売り抜けていきます。
空売りから入れば相場はもちろん下がります。高値で売って低値で買う。多くの資金を動かすものが常に市場の流れを作り出します。皮肉にもライブドアXフジテレビ騒動で国民も学習はしましたが・・・。
政治屋が、ほかの利権で儲けた資金を運用するのは投資ファンドです。投資ファンドといっても大小様々ですが運用資金は数百億。仕手株を仕掛けても充分に儲けられる資金ではあるでしょうが、ヘッジファンドも含めてもっと多くの資金さえあれば儲けは飛躍的に伸びるでしょう。預けた側もそれを期待します。
そこで目をつけたのが350兆という膨大な資金を持つ郵貯、簡易保険です。これを幾分でも手に入れることができれば、1日の売買高が1兆円程度の日本の株式市場です。彼らの支配力は強大なものになり市場から膨大な資金を吸い上げるでしょう。そのおこぼれに預かるのは、預ける資金を持つ人たちです。
株式市場から吸い上げられる資金は誰のものだったでしょうか?なけなしのお金を銀行に預けようにも低金利でどうしようもなくなった庶民の資金です。
税金をおのれの財布に流用できなくなった政治屋は今度はアメリカとつるんで国民の預貯金にまで手を出そうというのです。


つまり民営化とは政治屋に常に新しい財布を提供する魔法なのです。
「米生命保険協会は、「郵貯簡保の民営化は国際公約だ」と、引き続き郵政民営化を求める声明を出すなど、米国内では民営化の先送りを失望する声が出ている。」
あれあれ、本音語ってどうするのよ。
それでも構造改革という名の美辞麗句に酔うことができますか?


追記   ついNTTの民営化を忘れていましたがもうお判りのことと思います。バブルのさなかこの株で儲けた人の名前なんかは知りませんが・・・。